柳楽優弥 俳優
北浦愛 俳優
木村飛影 俳優
清水萌々子 俳優
韓英恵 俳優
YOU 俳優
是枝裕和 監督
誰にも知られることのない生活
“巣鴨子供置き去り事件”をもとにして作られた映画。
父親の違う4人の兄弟姉妹は、出生届けが出されていないために、学校に通うことができない。また、母親は、長男以外の子供たちの存在を隠蔽するために、アパートの大家に、長男のことだけしか伝えていない。子供たちと、騒がない、外出しない、といった約束を交わし、子供たちは、家に閉じこもり外出することすらできない。そんな中、母親は、子供たちの世話を長男に任せて、“幸せ”を掴むために、子供を置いて愛人と新しい暮らしを始める。
母親がまた戻ってくることを信じて、言いつけを忠実に守り、長男以外の子供たちは、外出をせずに家に閉じこもる。そして、“誰にも知られることなく”、子供たちによるアパートでの生活が始まる。
印象に残ったあるシーンについて。
映画の途中で、長男が他の子供たちを連れて、始めて全員で外に出るシーンがある。そこでの帰り道で、道端に生えている花を見つける。アパートで花を育てるために、種を取り始める子供たち。そこで、ある子供が“誰か捨てていったんだな。このまま。”と言い、それに応えて、他の子供が“あぁ、可哀想だね。”と無邪気に言い放つ。自分が見捨てられたということに気がつかずに。
長い間、家に閉じこもりきった状況の中で始めて全員で外に出るこの一連のシークエンスは、全編を通して、もっとも明るく描かれている。そのため、観るものにも、子供たちの外に出ることの出来る喜びが伝わり、明るい印象を与える。それだけに、無邪気に放たれた、“あぁ、可哀想だね”という台詞は、そのシーンの明るさと強いコントラストをなし、胸に突き刺さるものがあった。子供たちの演技に助けられた、印象に残る作品
親が子を見捨て、子供たちだけでなんとかやっていく様を描いた映画である。当然、時間の経過ともに、徐々に問題が拡大することになる。調和が段々とほころび、意見の相違・趣味の違い・年齢の差が、金銭的余裕の欠如とともに深刻になる。予定的不調和、と言ってもよいかもしれない。強い意志で生き抜いているというのではなく、単に生かされている状態で、バランスがずれていく様子を描写した本作品は、確かに子供たちのリアルな演技は十分に見ごたえがあり評価したいが、一方、シナリオに厚みや深みがなく弱い。結局何を描きたいのか、曖昧なまま最後まで行ってしまう。いや、まるではっきりとした声をシナリオ自体が意図的に出さないようにしているかのようだ。いずれにせよ、切れ味にかける作品だという印象である。
ただ、子供たちの自然な演技ざまは、それだけで十分に印象深く、シナリオなどの弱さを補っている。主演の柳楽 優弥だけでなく、北浦 愛、木村 飛影、清水 萌々子、韓 英 恵、皆この映画にマッチした素敵な演技をしている。平然とした社会の陰☆
ただただ黙々と、
母親に捨てられた子供達の日常生活が映し出されていきます。
その静けさが見ているものの胸に染み入るように迫ります。
子供達の、どこかぶ骨で自然な演技がより一層リアリティを感じさせます。
だんだんと母親が家に帰ってこなくなる過程で、
長男は「仕事が長引いているんだよ」と母親を守ります。同時に、自分の中で崩れてはならない支柱を守ります。
僅かに一緒に過ごす時間に皆が嬉しそうに笑ったり、母親の服を売らせない長女のシーンなどがあって、たとえどんな母親であれ、その代わりは他の誰にも努められないことを思い知らされます。
母親、父親、大人達は‘表側’は何も問題がないように見えるでしょう。それを取り繕う術は十分にあるのです。あるいは、それは社会の中で生きるということの一面でもあるかもしれません。
たしかに母親にしても全てを安易に否定は出来ないと思います。色々なしわ寄せの連鎖という見方も出来ます。
しかし、それでも、実際に自分の行動で何がどうなってるのかについて、考えるべき責任が決定的に欠けていることは言わなければなりません。
考えるのは自分の幸せばかりです。
常識めいたことや優しいことも言いますが、自分の都合によるもの、自分の都合の及ぶ範囲だけのものばかりです。
他の人(父親)を言い訳に自分の問題とすり替える、その辺りは如実です。
そして子供達はそれにあらがうことは出来ないのです。
いくら求めても社会の中に子供達の居場所はありません。
否応なく社会から疎外された場所で、兄弟姉妹の繋がりだけを頼りに生きています。
誰も泣き叫んだりしないけれど、心では多大なものを抱えているのがよくわかります。見ていてそれを察せずにはいられません。
そして実際に様々なものが崩壊していっています。
ある種現代的な大人の病、
母親の子供に対する考えとその実際とのギャップ、
平然とした社会の中にある陰をよく捉えた秀作だと思います。カスタマーレビュー
都会にぽっかりと開いた穴のような、子供だけの共同生活。
彼らと関わる人たちは悪人でも善人でもない。
彼らは淡々と暮らしてゆく。
淡々としたストーリー展開で、都市の緩やかな時間経過を見せる。
徐々に何もかもが尽きてゆく。
しかし彼らは、おそらくは思いを内に秘め、淡々としている。
柳楽君の強くてちょっと悲しい感じの表情が印象に残る。
実際にあった事件を元にしているというが、言うまでもないがそっちはもっと凄惨。
こちらではむしろ、この映画として作られた淡々とした空気感を問題にすべきだろう。
強く、悲しくて、そしてゆるやかな映画。小学生の自分に戻った
私はこの映画が出たときは中学生くらいで、結構騒がれていたが気にもとめていなかった。だから好きになったのは大人になった最近の事だった。
あの小学生の時の独特な目線、感情に共感し、私もあの家族の中で生活している気になった。
12歳の柳楽くんは皆が騒ぐほど特別な子じゃないと思うし、私の小学生の時のクラスメイトによく似てた。その普通な感じがまた共感した理由だ。彼の演技は本当にドキュメンタリーのようで、見ている観客をも画面に引き込む。
全部を同じテンポで描いているのが新鮮だった。よく映画ではある人物を特定に描いたり、印象づよくさせる。でも、現実ではどれも同じスピードで過ぎていく。
賛否両論があるが、この映画をいい作品だと思った人も、悪いと思った人も、同じく優しい気持ちになる事ができる映画だと思う。リンク
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